セルフネグレクトとは
セルフネグレクトという言葉をご存知でしょうか。近年、若者を中心に増えている精神疾患です。今回はゴミ屋敷や孤独死の原因のひとつともいわれるセルフネグレクトについてご紹介します。
セルフネグレクトとは
『セルフ・ネグレクト』とは、自分の生活環境や健康状態が悪化しているのに、改善する気力もなく自己放棄してしまう状態をいいます。自分に関心がなくなるので、部屋がとても汚くなったり、食事や水分を全然取らなくなったりと自身が危険な状態に陥る恐れもあります。
セルフネグレクトになる原因
●事故や病気
事故や病気が原因となり、セルフネグレクトに陥ることがあります。これは、これまで普通に出来ていたことが出来なり、精神的に大きな苦痛を受けるためです。高齢によって身体が不自由になった場合などもセルフネグレクトになるケースがあります。
●家族の死亡や離婚
家族の死別や離婚などがきっかけとなり、セルフネグレクトに陥ることもあります。これは、これまでの生活が失われた喪失感や孤独から生きる気力が次第になくなってくことが原因とされます。
●経済的な貧しさ
経済的に余裕がない場合、病気やケガをしても医療費を払うのが厳しいため放置してしまう人もいます。その結果、病気が進行したり身体が不自由な状態となってしまい、セルフネグレクトに陥ってしまうケースもあります。
●家族間のトラブル
家族の死別などがなくとも、虐待や引きこもり、介護疲れなど家族間にトラブルを抱えている人もセルフネグレクトになってしまうことがあります。これは悩みを周囲に相談できず、ひとりで抱え込み追い詰められていくことが原因となりセルフネグレクトに陥ります。
セルフネグレクトの症状
お風呂に入らない
洗濯をしない
服を着替えない
食事を摂らない
掃除やゴミ捨てをしない
郵便物が溜まってるが見る気がしない
ゴミが床のあちこちにあるが放置してる
などです。
上記の症状がある人全員がセルフネグレクトという訳ではありませんが、なる可能性もあるとして自分や周囲の変化に気をつけておくと良いでしょう。セルフネグレクトの症状が長引くことによって、家がゴミ屋敷化したり、ひどい場合は孤独死に至ってしまうケースも実際にあります。
セルフネグレクトの対処法
セルフネグレクトになってしまう背景は人それぞれですので、要因に合わせた対策をする必要があります。
●自覚する
中には自分がセルフネグレクトと自覚しておらず、周囲のサポートは必要ないと思っているケースもあります。まずは自分の心身が危険な状態にあることを認識してもらうことが大切です。そのためには本人の話をよく聞き、今の状態になった原因を探ったり、どうしたいかを確認するようにしましょう。
●周囲のサポートを受ける
公的な相談先としては「地域包括支援センター」が利用できます。地域包括支援センターは全国にあり、誰でも無料で相談できる窓口です。地域包括支援センターを通じて、治療に必要な手立てが見つかるきっかけにもなります。
また介護が必要にも関わらず、要介護認定を取得していない高齢者も多いようです。要介護認定の申請も地域包括支援センターが代行することが可能なので、申請していない方は相談してみるとよいでしょう。
●適切な治療をする
何かしら疾患や認知症があるのであれば、病院で治療を行いましょう。精神的なものが原因になってることも多いので心療内科に一度診てもらうのも良い選択です。きちんと治療を進めることで、心身を少しずつ健康的な状態に戻していくことが重要です。
●部屋を片付ける
全員ではありませんが、セルフネグレクトの多くの方の家がゴミ屋敷化しています。少しずつ無理しない程度に部屋の片付けを行いましょう。1日に数分、身の回りにあるゴミを袋に入れるところから進めてみてはいかがでしょうか。
身近な人がセルフネグレクトになったら
●相談先を見つけておく
セルフネグレクトの人の中には、周囲の手助けを上手く求められなかったり、サポートを拒否する人もいます。いずれの場合も、相談先を見つけておくことがひとつの方法です。先述した地域の支援センターや民間サービスなどを上手く活用するようにしましょう。ひとりで抱え込まないことが大切です。
●必要なサービスを利用する
介護認定がおりている方は、介護保険の適用で料金を抑えて介護サービスを利用できます。周囲との接点ももつことができるのでおすすめです。家事や部屋の片付けが自分達でサポート出来そうにない方は、家事代行サービスやハウスクリーニングなどの民間サービスを利用してみても良いでしょう。